南フランスで過ごしたホームステイの日々は、私にとってフランスをもっと好きになるきっかけになりました。
現地の先生の自宅でフランス語を学び、家族と食卓を囲み、街を歩きながら暮らしを体験する毎日。観光では味わえない「フランスの日常」に触れた時間は、今でも鮮明に心に残っています。
この記事では、初めて体験したシャルルドゴール空港のトランジットの様子や、南フランスでのホームステイ・フランス語レッスン・街歩き、そこで感じた文化や学びをご紹介します。これからホームステイや語学留学を考えている方の参考になれば嬉しいです。
エールフランスで成田からマルセイユへ
いつもはパリまでの旅でしたが、今回は初めてのフランス地方行き。行き先は南仏・Marseille(マルセイユ)にほど近い、Carry-le Rouet(カリー・ル・ルエ)という街。
まずは成田からパリまで行き、その後パリからマルセイユ行きへ乗り換え。マルセイユでホームステイ先のご家族が迎えにきてくれます。1週間から申し込める、ホームステイ兼フランス語レッスンプランを、有給休暇を利用して旅行代理店経由で依頼しました。
意気揚々とパリ・シャルルドゴール空港を経て、マルセイユへたどり着く予定でしたが、雲行きが怪しくなったのはパリからマルセイユへの乗り継ぎでのこと。
ターミナルFからDへの行き方がわからない中、刻々と次の飛行時間が近づいてきます。パリのターミナルは広いのでバスで移動するのですが、イマイチ自信がありません。次の便名が掲示板になかなか表記されず、更に不安に・・。

焦りの中、刻々と時間が過ぎていく・・
実際にフランスに住んだらどうなるんだろう・・としょっぱなから、かなり落ち込みました。あんなにフランスに住むことを望んでのいたのに…
そんなとき、日本人女性が話しかけてきました。行き先も同じ、マルセイユ。かなり心強かった!日本での仕事のこと、フランス語レッスンのことを話していたら、さっきまでの不安が吹き飛び、なんだか楽しくなってきました。
飛行機の上から見たマルセイユは、キラキラと明かりが灯っていて、これからのフランス滞在に心なしか期待がもてるようになってきたのです。

エールフランスの搭乗券やラゲージタグなどでコラージュした旅の記録
先生の自宅で始まるホームステイ生活
次の日は日曜日、快晴。昨夜はマルセイユ空港から先生の自宅まで車で揺られる中、トランジットの緊張や不安から解き放たれたのと、このお休みを取るギリギリまで忙しかった仕事の疲れかからか、胃がキリキリと痛み始めてしまいました。(会社員あるあるですね・・)滞在先に到着してからすぐに眠りについてしまった私。
寝すぎてしまった!と思い、そそくさ身支度を終えてマダムを探しに行くと、朝食を庭にあるテーブルにセッティングしてくれていました。彼女のお気に入りのティーカップとソーサーとともに。

キラキラ南仏の木洩れ日と、朝食を庭で取ることに感動!
「よく眠れた?よく眠ること、それもバカンスよ!」とマダム。とてもハッとしたのを覚えています。なんだか新鮮な感覚。そういえば、こんなふうに身体を優先してゆったりとお休みを過ごしたことなかったなぁ〜。

「平日は忙しいから、日曜日の朝をとても大切にしているの」とマダム。
ムッシューお手製のジャムたち。イチゴ、ピーチ、カシス、アプリコットなど…全部食べたい!

のんびり朝食後は、近所のビーチへお散歩。

海はいい!ふぅっと深呼吸。
なんだかやっと人間らしい生活をしている気がする。
港を散歩する人、肌を焼いている人、おしゃべりしている人、ビーチで本を読んでいる人、背泳ぎしてのんびりしている人、ベンチに座って考えことをしている人など、老若男女、思い思いに過ごしている。

南仏だからと言って、毎日ゆったりしている訳もなく…平日はみな忙しいけれど、お休みの日には、ゆったりできる環境を満喫している。
日本にいる時はしっかり休むことに対して、なぜか罪悪感をもってしまい、空いている時間に予定を詰め込んでいたなぁ。
マダムに就業時間のことを話したら、「人間じゃない!」と言われてしまった。(残業9-10時までって、どう考えても異常だったわ・・)私もしっかり休んで、毎日を大切に過ごそう!と心に刻みました。
電車でマルセイユ、エクス・アン・プロバンスへ
今日は電車に乗って街へ繰り出してみます。マダムに、Marseille(マルセイユ)やAix-en Provance(エクス・アン・プロバンス)への時刻表を見せてもらい、電車の乗り方、フランス語での切符の買い方を教えてもらいます。教えてもらったことを、即実践できる機会があるのはいいですね。
まずは自宅から最寄りのカリー・ル・ルエ駅まで歩いて30分ほど。いきなり知らない道を歩くのは勇気が要りますが、やるしかない!

自宅から最寄り駅までは人気のない道のりをひたすら歩く
道の途中に見つけたお家の囲い。蜂の巣を型取っていて、かわいらしい。南フランスでは、蜂は幸せの象徴です。

カリー・ル・ルエ駅に到着。マルセイユまでは電車で23分ほど。マルセイユからエクス・アン・プロバンスまで乗り継いで40分。先にエクス・アン・プロバンスまで向かいます。

ところが、どうやら切符の買い方を間違えていたようです。車中、車掌さんから呼び止められてフランス語で説明されますが、全く理解できない私。ほんとうにどうしようもない中、ご親切に何度も説明してくれたり、再度切符売り場へ案内してくれたりで、なんとかなりました。
やっとの思いで到着したエクス・アン・プロバンス。

エクス・アン・プロバンスは光の加減がより一層美しい
旧市街に入ると、雑誌で見た南フランスの雰囲気そのもの。ラベンダーのポプリや石鹸、南仏柄のテーブルクロスやエプロンなどが、色鮮やかに飾られていました。キラキラした日差しと木洩れ日が美しく、散歩するだけで満たされた気分でした。お土産を購入したら、マルセイユへ移動します。

飼い主さんとお散歩中のワンちゃん、和みます。
マルセイユは、治安があまり良くないと言われていましたが、それほど悪くはない印象でした。但し、落書きのある場所や、細い路地は、一気に雰囲気が変わるので、1人歩きは注意が必要です。

マルセイユはフランスで2番目に大きな都市。人が多く落ち着かないかな?と思っていましたが、港の近くは比較的ゆったりとしていました。景色はさすが港街だけあって壮大でした。

都会は楽しい。買い物や遊びにこと欠かなくて、それはそれで良いのですが、正直な感想、滞在していたCarry-le Rouetのほうが居心地いいなと感じ始めていました。おそらく日常と同じリズムで過ごしたくなかったのかな?

滞在先からカリー・ル・ルエ駅までの道のりは、人通りが少なく、昼間でもちょっと緊張感をもって歩いていましたが、道の途中に出会うちょっとしたものに心が動かされたり、人混みから解放されて、自然に囲まれてゆったり過ごすことにすっかりはまってしまっていました。
南フランスで学ぶフランス語と暮らし
「ホームティーチャーズレッスン」とは、先生のお宅に滞在してフランス語レッスンを受けるタイプの留学方法です。 1週間の滞在の間、月曜日から金曜日まで、1日2時間、マダムのフランス語レッスンを受けます。
朝食はフランス式に、バゲットにジャムやバター、コーヒーを。お昼はマダムお手製のサンドイッチにりんご丸ごと一個を外出時に持たせてくれたり、お客さんとご一緒して、フルーツやワインを楽しんだり。夕食は毎晩、ご夫婦の作る家庭料理をいただきます。

きちんと前菜から順番に出され、フォークとナイフで食べる。これもだんだん慣れてきます。
ご夫婦は私のつたないフランス語にもしっかり耳を傾けてくれました。
滞在中、何度もフランス語が通じなくてあきらめたり、投げ出しそうになる度に、「大丈夫、フランス語は難しくない。少し時間が必要なだけ。日本に帰っても、フランス語を続けてね。ここからが始まりよ。」とマダムに励まされました。
ニュース番組で取り上げられた、当時ヨーロッパで話題の、ユーロに加盟する国、しない国についてや、年金について、ご自身のことなど、母親と同い年のマダムとは、たくさんお話ししました。

マダムと話していて、とても印象に残っているのは、「私は、フランス語を外国人に教えるこの仕事が大好き!」
「All time, keep your job in your life」とおっしゃっていたこと。
旦那さんのお伺いを立てて、買いたいものを買ってもらうのは何か違う、と思ったマダムは、働き始めてから心の平静が保たれたといいます。
一日中家にいて子供の世話をするよりも、仕事を持ちながらする方が、自分にとってはいい状態でいられて、子供にもいい影響を与えることになったそうです。仕事することに同意してくれる結婚相手を選んで、なんてアドバイスも。
色々あったけど、乗り越えられたのは、映画や音楽、アート、演劇などが心の助けになったとのこと。
私にとっての心の支え、つらいときに見える一筋の光は、フランスだなぁとそのときハッキリしました。
今でも仕事で悩んだときは、イキイキとしたマダムの姿を思い出すと、勇気づけられます。
出会えて良かった。本当に感謝。

1週間という短い時間でしたが、南フランスでのホームステイは、私にとって忘れられない経験になりました。
先生のご自宅でフランス語を学び、ホストファミリーと食卓を囲み、何気ない日常を一緒に過ごす。その一つひとつの時間が、観光だけでは知ることのできないフランスの魅力を教えてくれました。
この経験があったからこそ、今もフランス語を学び続け、パリや地方を旅し、アンティークやフランスの暮らしに惹かれ続けているのだと思います。
いつかまた南フランスを訪れる日が来たらーそんな小さな夢を胸に、これからもフランスとのつながりを大切に育てていきたいです。
これからホームステイや語学留学を考えている方にとって、この体験記が少しでも参考になれば嬉しいです。

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